夏も仕舞いがた


東の空に浮かぶ月。西日の残照が東の雲も照らす。

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 まだまだ暑い日が続いているのだけど、窓から吹き込む夜半過ぎの風の冷たさに目覚めたり、虫の音が聴こえたり、透き通ったような大気のなかに浮かぶ月を見たり、なんとなく秋が後ろから近づいていることに気がつく。

 昨年、今の部屋に移り住んでから気がついたのだけど、お盆過ぎの金沢の空が哀しげで美しい、そして時には狂ったような儚い彩りを空に浮かべることがある。

 齢を重ねると意味もなく空を見上げ、意味もなく溜息をつきたくなるのだけど、この季節の金沢の夕暮れはそんな気風を押し出す力があるように思える。

南東の空

南の空 雲の下にある山々に気持ちを預けている

西の空。寺町の古ぼけたビルヂィングがやけにカッコいい