梅雨の金沢・梅雨の渓流

 この一ヶ月の半分近く海外で過ごした。バンコクから帰ってくると、いつもの間にか入梅していて、少雨ではあるが、曖昧な空で一日がはじまる。少し疲れたようだ。生活のペースが掴みにくく、また、不安な気持ちが湧くような感覚。久しぶりだ。

 そんなときは、仕事場を片付けたり、細かな案件を事務的に処理したり、それでも足りないので、外に飛び出すことにした。

 朝はK師匠と雨降りの渓流に。午前中は小雨。時折、降りが強くなると、沢沿いの木の下で雨宿り。ながれていくような大気の動きを眺めながら、濃い緑の中で佇んでいた。釣果は今ひとつで、25cmのイワナ。それでも、時間の流れがゆったりとした感じで、無為のような時間が優しい。

 夕刻は天候が回復したので再び渓流へ。水量を偵察に行ったが、まずまず。次第に闇が迫る谷底で竿を振った。水流とともに過ごす間、何も考えていない。竿先以外は。すっかり、気持ちが落ち着いてきた。釣果はやはり25cmのイワナ。強い引きに、とても満足した。